早期退職しても幸せでいられる人に学ぶ、早期退職の考え方
かつて日本列島が沸いた1980年代後半のバブル期。給料水準が大幅に高騰し企業はどこも大量に人を採用した時代でした。そしてこの時期、大量に新卒採用されたのが「バブル世代」と呼ばれる1960年代生まれを中心とした方々です。この「バブル」という響きに懐かしさを覚える方も少なくないのではないでしょうか。
実はもう間もなく、この「バブル世代」の大部分が50歳代を迎えます。
これを2020年問題と呼び、経営課題として各方面から注視されているのです。
ではなぜバブル世代が50歳代を迎えると問題なのでしょうか?労働者や企業に与える影響そして、2020年問題と密接に絡む早期退職と一緒に考えてみたいと思います。
2020年問題とは?労働者と企業の抱える問題
2020年問題の一つに給与水準がピークになると言われています。
バブル世代の方々の高い年齢給なども相重なり、企業には人件費負担増という問題が重くのしかかります。
また、それだけではありません。問題は「ポスト不足」です。給与水準の高さに見合うポストや活躍できる場が用意できないという深刻な問題が予測されています。
このように、バブル期に大量採用された社員の人件費負担増やポスト不足に直面する企業の経営課題が「2020年問題」の実態なのです。
こうした2020年問題を背景に今「早期退職制度」を推進する動きが出てきているようなのです。
次項ではあらためて早期退職を理解していきたいと思います。
あらためて理解しておきたい早期退職のこと
一般的に「早期退職」とはどのようなことを言うのでしょうか?
早期退職とは、「定年(60歳~65歳)を迎える前に働いている会社を退職すること」を言います。ただ、一般的にはやはりリストラや強制的な人員整理のイメージがあるようです。
実際に多くの企業は、経営の立て直しや事業の大きな転換を行う際に「早期退職制度」を使いますが、現在は業績悪化の理由で人を解雇すると他の従業員のモチベーション低下が顕著に出るのでそれを回避するためなのだそうです。
このような解雇を整理解雇と言いますが、基本的には“自主的に退職したい人を募る”ことが一般的です。 その際、選択できる制度は大きく二つに分かれます。
- 早期希望退職制度
- 上述したように経営の立て直しや事業の転換を行う際、主に使われるのがこの制度です。退職にあたっては会社都合となることが多く、失業給付金をすぐに受け取ることができますが、再就職支援などがある場合もあります。
- 選択定年制度
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こちらは、企業の経営や業績に関わるものではなく、人事制度の一つとして設定されているものです。
現在、定年については以下の三グループに分けられます。
- ①定年制の廃止
- ②定年の引上げ
- ③60歳~65歳までの退職年齢を選べる選択定年制の導入
実施状況は③の選択定年制の導入が多く、メリットとしては退職金の優遇をしている企業が多いようです。
また、勤続年数や年齢に応じた加算や定年退職と同様に扱われるケースもあるとのこと。退職にあたっては自己都合退職となることが多いようです。就業規則等に詳細な内容が記載されていることが多いので、気になる方は就業規則を確認してみると良いと思います。
このように企業が提案する希望退職に伴う退職金の割増優遇や特別な有給休暇付与、再就職先支援などメリットもあります。
ただし収入面や再就職先でのデメリットもないとは言えません。そこでずっと働き続けた時に得られる生涯収入と割増退職金を比較した時に、やはり収入が減るということは良くありますし、再就職先がすぐに見つからないということもありますし、そこでうまくやっていけるかという不安もあります。
それでは、こうした早期退職のメリット・デメリットを踏まえ、もう少し早期退職について考えていきたいと思います。
早期退職をするなら考えておきたいセカンドライフのこと
早期退職からの再就職をする場合に、注意したいのが退職理由です。実際の現場では、会社都合退職と自己都合退職に分けられます。
経営不振など会社側に原因のある退職を、会社都合退職と言います。早期希望退職の場合はこちらになるケースが多いです。
逆に労働者側が自分の意志や都合でする退職を、自己都合退職と言います。
会社都合退職の場合は、失業給付金が自己都合より早く支給され、給付日数も長くなるというメリットがありますが、一方で解雇されたという理由が再就職の場で不利になることもあります。そのような場合には、マイナスからプラスとなる理由を、しっかりと履歴書や職務経歴書でアピールすることが大切です。
自己都合退職の場合では、自らの意志で会社を辞めたという理由で失業給付金を受け取るまでに約3ヶ月かかります。そのため、しっかりと退職計画を立てておく必要があります。
再就職する場合には、会社都合と同じく「理由」は重要なので自己都合でもどのような「想いや考え方」があって退職に至ったのかをしっかりとアピールできるようにしておくことが大切です。
また、他にも考えておきたいことがあります。将来貯蓄は十分かどうか?再就職する場合の働く場所はどうか?
セカンドライフをどのように過ごすか等、十分に家族と話し合ったうえで決めることが大切ですね。
併せて年金がどれくらいもらえるかを確認しておくと良いと思います。
自宅に送られてくる「ねんきん定期便」(日本年金機構)には、これまでの年金加入記録が記載されています。「ねんきんネット」へアクセスして将来、自分がどれくらいの年金を受給できるかを把握するようにしておくと良いと思います。
ちなみに、老後資金はこちらを参考にしていただくと良いと思いますが、統計局の発表では65歳以上の月々平均支出は約25万円となっています。さらにゆとりある老後を求めるのであれば、生活費は月額34.8万円と言われているので参考にして下さい。
これからますます加速する早期退職は、上手く活用できればあなたのキャリアを後押ししてくれることもまた事実です。
早期退職を活用してしあわせになるためのマインドセット
あなたが今まで働いて来た組織の中で、会社に対して「貢献度」が高い人やまずまずの人、あまり・・・という人がいたということはありませんでしたか?
実はこれ、「2:6:2の法則」と呼ばれる有名な組織論で、組織は貢献度の高い人2割、貢献度が高いとも低いともどちらとも言えないまずまずの人6割、平均よりやや貢献度が低い人2割に必ず分かれるというもの。
一般的に見るといわゆる貢献度が高い人は要職についていたり、エリートと呼ばれるような人をイメージすると思います。
では、実際にそのいわゆる“できる人”だけが早期退職で良い結果を得られるのかというと実はそうとも言えないのです。
例えば、社内の評価は高いが必ずしも他の会社からしたら評価は高くない得られない人。こうした人は終身雇用されたいというタイプに人が多い傾向にあると言われています。
一方で社内評価は低くても他の会社では活躍できる場所がある人。このような人は早期退職をした後でしあわせになれる可能性が大きいという場合があります。
またエリートと呼ばれる人は自分の意志で決定できる力があり、そうでない人は早期退職に手を挙げることはありません。
いずれに、いろいろなタイプがありますので、まずは自分がどのタイプかを見極めそれに応じた行動をとるのが良いのではないでしょうか。
とはいえ会社が早期退職を募集するほとんどの場合、事前に選別が終わっていることが多いのが現状です。社員に決定権があると言われていますが、実際には面談などを通じてそれとなく早期退職を促してきます。
こんな時、あなたならどうしますか?
今までの終身雇用に価値を求める人から見た場合、絶対に辞めるべきではないと思うでしょう。
しかし、早期退職の選別に入ってしまった場合に現実は、そこでのキャリアは先を閉ざされたも同然です。
また、人生100年時代と言われる中で、70歳を超えて働かなければならない時代はもうすぐそこまで来ています。ひたすら我慢し続けますか?それともあなたの貴重な人生の時間をもっと他に活かすことを考えても良いのではないでしょうか?
私たちが提供するシルバーギアサービスは、高齢者をより真剣に企業の戦力化とすることを目的にしています。早期退職に直面した時、一度マインドセットして勇気をもって前進したことでしあわせになれたという人も少なくありません。
早期退職という現実が目の前に立ちふさがった時、その「場所」にこだわるのではなく、「仕事の内容」や「あなたの輝けること」で見た方が、より充実した生き方ができるのではないでしょうか。
今後のキャリアについて悩んでいる方は、弊社提供サービスの「シルバーギアエージェント」へご相談ください。
(相談・登録などにかかる費用はすべて無料です)