新・胃の国民病!? 「機能性ディスペプシア」とは

出典:イラストAC
機能性ディスペプシアとはどんな病気?
機能性ディスペプシアという病名をご存じない方も多いのではないでしょうか。2013年に保険診療の適応となり、正式な診断名として認められた病気です。
機能性は”働き”を示す言葉、ディスペプシア(Dyspepsia)とは”消化不良”という意味があるので、機能性ディスペプシアとは、「胃の働きが悪くなり症状が出ている病気」ということになります。
<主な症状>
・みぞおち辺り(心窩部)に痛みがある
・みぞおち辺り(心窩部)に焼ける感じがある(心窩部灼熱感)
・食後に胃もたれがある
・食事を始めてすぐにお腹がいっぱいになったと感じ、食事を最後まで摂ることができない(早期飽満感)
上記のうち、1つでも当てはまる症状があり、さらに症状が週に1・2回、1ヶ月以上続く場合は、機能性ディスペプシアの可能性があります。
機能性ディスペプシアは「気のせい」や「甘え」ではありません!
さらに、医療機関の診察で胃や十二指腸に異常がなかったという場合は、機能性ディスペプシアである可能性がとても高くなります。
機能性ディスペプシアとは、胃の痛みや不快感などの症状が現れているにもかかわらず、上部消化管検査(胃カメラ)など胃に関する検査を行っても何も病気が見つからなかった場合に、診断される病気です。
しかし、この病気については、世間であまり知られていないのが現状です。
病院を受診しても内視鏡などの検査で原因が特定できずに「気のせい」と言われ、本人は自分が精神的に弱いことが原因だと思い込み、症状がさらに悪化してしまうこともあります。
正式な診断名として認められてから10年以上経ちましたが、現在もそのつらい症状が機能性ディスペプシアだと気付いていない人が少なからずいると思われます。
長く続く胃の辛さは、決して「気のせい」や「甘え」ではなく、日常生活にさまざまな支障をきたしています。無理をせず、適切に対処することが大切です。
機能性ディスペプシアの原因
この症状を引き起こす原因として、下記などが考えられています。
<胃の働きによるもの>
・胃の運動機能障害(胃が十分に動かず、食べたものをうまく十二指腸に送ることができない)
・胃酸過多(胃酸の出過ぎ)
・胃の知覚過敏(小さな刺激に反応してしまう状態)
・ピロリ菌への感染
・食生活習慣(過食、刺激物・高脂肪・アルコール・カフェインなど胃に負担のかかる物をよく摂取する、不規則な食事など)
<心理的によるもの>
・心理社会的要因(睡眠不足や過労などの身体への負担に加えて、悩みやストレスを抱えていること)
「胃の働き」、「心理的」のいずれかに原因が大きく偏っている場合もありますが、どちらにも同じくらい原因がある場合もあります。
胃の痛みや不快感などの症状が長く続く場合、様子を見ていたらよくなるかも、市販の胃薬で治るかも、などと安易に考えるのではなく、一度消化器内科を受診して、検査を受けることをおすすめします。
心の持ち方で改善も!
機能性ディスペプシアの原因のひとつにストレスがあり、完璧主義やデリケートな人がなりやすい病気とも言われています。
考え方を少し変えると症状の改善につながります。
・仕事や家事は70~80点を目指そう
「疲れていてもやり遂げる」のではなく、「仕事や家事が一段落しなくても、まず休む」ことを心がけましょう。
心身にゆとりを持って取り組んだ方が、結局は良い結果につながります。
・生活習慣の改善も頑張りすぎない
胃の不調を防ぐために生活習慣を見直すことも大事ですが、それも70~80点を目標に取り組みましょう。
・気分転換でストレスを溜め込まないようにする
散歩やウォーキング、音楽を聞く、映画を観る、料理をする、美味しいものを食べに行くなど、自分なりのストレス解消法を見つけて実践しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
胃の不調が1ヶ月以上続いている場合、まずは病院の受診を検討してください。病院に行った→先生といろいろ話をした→検査をした→原因が分かった→薬を飲んだ、ことで安心して生活していけることでしょう。そして、頑張り過ぎず、良い意味での「いい加減さ」を身に付けることが、この病気とに向き合うための方法だと言えそうです。
【参考・出典】
・ロート製薬株式会社/太陽笑顔fufufu:https://fufufu.rohto.co.jp/feature/95298/
更新日:2025年4月11日
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